この夜は永遠じゃない

女の子になれ、と言われているようで、スカートもピンクもセックスも好きじゃない。好きになりたいのになれないから憎しみがある。完全に手放せたら楽なのになーと思う。

告白とか付き合うとかそういうのを思うとき、いくつもの助手席を思い出す。相手のいいところなんて見つけようと思えば永遠に出てくるし、妥協に妥協を重ねればプライドだって折ることができる。ほんとうは誰でもいいはずなのだ。いずれ誰でもよくなくなるから。だけど選んでしまう。それは性別は関係なくて、人間を選んでいる。というのも、矜持があるからだ。自分のことはほんとうに1ミリも愛していないけど、勿体無いと思ってしかいない。相応しいとか相応しくないとかそんな関係なんて無いことは分かりすぎるくらい分かっているはずなのに、気づけば「いつか王子様が」を口ずさんでいたりする。みんなテトリスの棒をさがしているんだよなーと思う。ぴったりがいるはずなんだって深く溜息を吐きながら半ば信じている。ぴったりをこちらは知っているけどそれは遠い人、みたいなことが多分とてもこの世には多くて、出会えない恋がたくさんある。年齢とか肩書きとか関係ないなんて結局、ってそう、結局って思ってしまう。すべては環境、運、そういうの分かってます、分かってるけどどうにもならないもので、悔しがるものでもないことも知っていて、それでもあったかもしれない人生のことを考えて、また肺を絞るような溜息が出る。あのキスがすべてじゃないでしょ。好きでもすべてじゃないでしょ。男の子はほんとにめんどくさい。飾んな。カッコつけんな。わたしのことを愛せる価値がおまえにあるのかよ。振り向いてくれない人間ばかり好きになる。やめてくれないか、恋とかロマンとかそういうの。わたしたちには生活がある。土曜日の夜は明ける。